分譲マンションでペットの飼育を許可してもらうには
Aさんは、以前から犬を飼っているのですが、引っ越してきたマンションではペットの飼育が禁止されているのです。
Aさんのほかにもペットを飼っている住民が何人か居ることもあり、今のところは大きな問題にはなっていません。
しかし規則で禁止されているからといって、犬の飼育をやめるわけには行きません。
Aさんはペットの飼育を認めてもらいたいと考えていますが、どうしたらいいでしょうか?
賃貸であれば、大家さんとの賃貸借の契約がどうなっているかによるので、それに従うかたちになります。
分譲マンションの場合には、集合住宅ですから、大体そのマンションで、所有者間の規約、ルールがあり、今回の分譲マンションについてはペットが禁止されているという規約の定めがあるということでした。
ではその規約をなんとか変更したいという場合については「区分所有法」という法律があり、区分所有法では、「区分所有者および議決権の、各4分の3以上の多数による集会の決議で決める」と規定されています。
区分所有者というのは、102号室や203号室などの各部屋があり、その部屋の所有権を持っている人を区分所有者といいます。
議決権は、ある一定の議題について、賛成したり反対したりする権利行使ができる権利のことをいいます。
一般的に考えると、1人1つの議決権持っていることを想像しますが、先ほどの法律から各4分の3以上の多数という言葉が出てきたということは、1人が1つの議決権を持っていないことを想定しています。
ですから、原則的な法律では、議決権というのはその床面積の割合によって決まるというふうになっています。
そこで、先ほどの議決権の各4分の3以上の多数が必要になるという定めをしています。
そうすると当然大きい部屋に住んでいる人の賛成が多い方が、より賛成が得られるということになります。
ただし、実際には例外があり、規約で「議決権を床面積の割合ではなく、1住居に対して1つの議決権を持つ」と定めているところが多いです。
従って、部屋が10個ある場合、10人の内の4分の3以上の賛成がなければいけなく、かつ、その議決権の4分の3以上でなければならないということになります。
なので、今回の場合は、ペットの飼育が駄目な分譲マンションからペットの飼育を許可してもらうには、規約の変更が必要で、規約を変更をする場合は、4分の3以上がそれぞれ必要ということになります。
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