家賃を滞納したらすぐに出て行かなくてはならない?
先月うっかり家賃を払うのが3週間ほど遅れてしまいました。
遅れるのはこれで3回目で、それまで何も言わなかった大家さんから、3回も遅れたので出て行ってもらうと言われたそうなんです。
このような場合、出て行きたくはないけれども、大家さんの言うとおり出て行かなければいけないんでしょうか。
これは結論から申し上げますと、出て行かなくてもいいと思われます。
契約期間中に、まだ契約が残っているのに出て行ってほしいというのは、法的に見れば契約の解除になります。
解除したから出て行って欲しいという理屈になるので、そうすると今回の場合、契約の解除に該当する要件があるかどうかがポイントになってきます。
賃貸借契約の解除については、一般の契約解除の要件プラス信頼関係の破壊というものが要件になります。
家賃というのは当然借りている方の支払い義務としては強く、必ず支払わなければならないので、それを怠るということになりますと、これは契約解除の事由になります。
家賃の支払いを怠っていた場合、大家さんは一定期間内に滞納している家賃を払ってくださいという催告をし、その催告にしたがって履行すれば問題ありませんが、履行しなければ解除するというのが普通の一般的な方法です。
従って、今回の事例の場合に大家さんがそういう手続きを踏んでいるかどうかで、突然出て行って欲しいと言われたということからすると、そういう手続きは踏んでいないと考えられます。
そうなると賃貸借契約の一番最後の要件の信頼関係の破壊があるかどうかがポイントになります。
家賃を滞納しても大家さんがそれでいいと受け取っていればまだ信頼関係は維持されているというふうに受け取ることができます。
信頼関係が破壊されたという事例は、例えば、長期間家賃を滞納していて、大家さんさんが家賃を取り立てに行っても居留守を使ったり、あるいは大家さんさんから郵便物を全然受け取らないとか、そういう事情がある場合にはやはり信頼関係が破壊されているということで、賃貸借契約の解除の要件になります。
結論的には、今回は信頼関係の破壊がそこまではいってないという感じがしますので、出て行かなくてもいいということになると思います。
関連記事
-
年齢を偽って借金をした未成年の息子の借金を支払う義務は親にあるか?
Aさんの息子は19歳の学生で、親元を離れて一人で住んでいますが、先日息子から消費者金融から45万円の借金をしてしまい、自分では払えないから払ってくれないかという連絡がありました。 どうやら息子は19歳であるということを相手方の消費者金融に告 …
-
友人が借金を返してくれない場合、どのように催促すべきか
会社員のAさんは、先日学生時代の友人と偶然9年ぶりに再会しました。 久し振りの再会で会話が弾んだAさんと友人でしたが、Aさんはその席で9年前にその友人に60万円を貸していたことを思い出しました。
-
マンション購入の契約のキャンセルと契約手付金について
展示用のマンションを見に行きすっかり気に入ってしまい、その日のうちに自宅で業者とマンションを買う契約をし、手付金50万円を渡しました。 しかし、改めて考えたときに、ローンの月々の支払いなどに無理がある気がしたため、3日後にキャンセルを申し出 …
-
承諾なしに家族の借金の保証人にされてしまったら
Aさんは、独立して一人で暮らしていますが、先日、実家の父親が借金をした際に、Aさんを保証人にしたということを聞かされました。 Aさんはこの父親の借金について今まで何も聞かされておらず、保証人になることを承諾した覚えもありません。
-
壊れたエアコンは大家に修繕する義務がある?
Aさんは、アパートを借りて住んでいました。 最近、入居したときからついていたエアコンが壊れてしまいました。
-
離婚したら元夫の連帯保証人から外れることはできる?
Bさんは協議離婚が成立し、8年の結婚生活を終わらせ、子供を連れて実家に戻りました。 しかし、問題が1つ残っていて、現在元夫が住むマンションは結婚して3年目の時に購入したもので、マンションの購入資金は元夫が銀行から借り入れし、その際にBさんは …
-
友人同士の借金で利息は請求できる?
3年前友人に泣き付かれ、仕方なく現金50万円を貸したAさんは念のため、返済の時期などを記した契約書を交わしていました。 そして先日、その50万円が契約書通りの日付で、いさぎよく手元に返ってきました。
-
保証人でないのに家族の借金の返済をせまられたら
Aさんは両親と一緒に暮らしていますが、あるとき父親が株式投資に手を出して失敗し借金を作ってしまいました。 複数の貸金業者から借り入れをしているようで、貸金業者が度々自宅を訪れたり、電話をかけてきたりします。 Aさんがその対応をしていたところ …
-
隣の家との境界が曖昧で一部が敷地に入り込んでしまっている場合、正しい境界にしてもらうには
今年で80歳になるAさんは、数10年間妻と2人きりで一戸建てに住んできました。 しかし、そろそろ生活や健康の面で不安になってきたため、息子の家族の家に引っ越すことを決めました。 そのため、今の自宅を売却することにし、改めて土地の面積を測りな …
-
不利益事実の不告知があり購入したマンションの契約を解除できるケース
部屋からの眺めと日当たりのよさにこだわり、マンション探し続けていたAさんは、ついに希望に合う物件を見つけ、マンションを購入しました。 購入したマンションは、販売業者が「眺めも日当たりも良好です」と勧めてきたもので、その言葉を聞いた上でAさん …