浮気などで夫が家を出て行き居場所がわからなくなった場合離婚できる?
しかし夫はついに家を飛び出し、交際相手と暮らし始めてしまいました。
A子さんは離婚を決意し、役所に行って離婚届を持ち帰り署名と捺印を済ませました。
ところが、夫は携帯電話の番号を変えてしまい、最近は連絡も取れない状態で、どこにいるのかもわかりません。
A子さんは今すぐにでも離婚したいのですが、離婚届を提出することはできるのでしょうか。
離婚は、協議離婚というかたちだと、まず両者の合意が前提になります。
それで離婚届を提出すると、それによって成立します。
今回の場合には、旦那さんが連絡全然取れないということで、両者の合意が得られないということになります。
その場合には、いわゆる裁判離婚になり、大体その事由が5つくらい法律で規定されています。
1つ目は配偶者の不貞行為で、不貞行為ということは、浮気などの行為が当たります。
2つ目は配偶者からの悪意の委棄。
具体的には、夫婦生活をする上においては、同居する、互いに助け合うなどの扶助義務がありますが、それを承知して義務を果たさずに怠ってしまったなどの場合です。
そういったケースが悪意の委棄ということになります。
3つ目は生死、生きているのか死んでいるのかが3年以上分からない場合です。
4つ目は配偶者の方が精神病になり、回復の見込みがないという場合です。
5つ目は暴行を受けていたり、ギャンブルに浸って全然生活を省みないなど、その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合です。
生死が明らかかどうか分からないという場合には、裁判離婚の事由にあたりますから、まず裁判手続きを踏まないといけません。
裁判というのはお互いに裁判する権利があるので、相手方にも離婚の裁判が起きているということを知らせないといけません。
これを実務的には送達というんですが、住所が分からないために送達が出来ません。
従って、相手方に裁判を起こそうとしても、起こせない状態ということになります。
送達に代わるものとして民事訴訟法上に規定があり、公示送達という手続きがあります。
公示送達は訴状や期日の呼び出し状などを裁判所の掲示板に貼っておくという手続きで、ある一定期間経過したら送達されたことになります。
公示送達という手続きをとるのであれば、相手方の裁判を受ける権利を言ってみれば剥奪するようなかたちになりますから、きちんと保障してあげないといけないということになり、そのためには軽々しく公示送達をすることは認められない可能性があります。
そうするとA子さんとしてはどうすればいいかというと、勤務先に対しては、夫の情報を聞いてみたり、警察にも届けたりといろんな手を尽くすことが必要になります。
従って今回の場合は、今すぐにでも離婚したいということでしたが、配偶者が3年以上生死が不明であるということが前提になります。
関連記事
-
婚約してから結婚までの話が全く進まない場合、婚約の解消はできるか?
A子さんには、3年間交際を続けている男性と2年前に婚約しました。 しかし婚約してから、A子さんが具体的な結婚の話をしようとしても、男性は結婚について具体的な話をしようとせず、はぐらかされてしまいます。
-
離婚した夫が失業した場合、養育費は払ってもらえない?
A子さんは小さな会社を経営している夫と5年前に離婚し、子供を引き取り毎月10万円の養育費を受け取っています。 しかし先日、別れた夫から連絡があり、「経営している会社が倒産してしまったので来月から養育費が払えない」と言われてしまいました。
-
離婚したら元夫の連帯保証人から外れることはできる?
Bさんは協議離婚が成立し、8年の結婚生活を終わらせ、子供を連れて実家に戻りました。 しかし、問題が1つ残っていて、現在元夫が住むマンションは結婚して3年目の時に購入したもので、マンションの購入資金は元夫が銀行から借り入れし、その際にBさんは …
-
養育費を後から増額・減額できるケースとは
離婚して10年になるA子さんが引き取って育ててきた一人娘は、来月高校3年生になります。 その娘が、1年間海外留学したいと言い出し、娘の話を聞いたところ、海外留学の費用が100万円ほどかかるようです。
-
離婚したとき養育費の支払いの約束は口約束だけでなく公正証書でしよう
7年前に結婚したA子さんは、夫との間に小学1年生の女の子がいます。 しかし夫とは喧嘩が絶えず、A子さんは離婚したいと考えるようになりました。 一方で夫は離婚の申し出を拒否し、A子さんと再度話し合った結果、しばらく別居して冷却期間をもうけるこ …
-
女装癖や暴力や浮気癖やギャンブル、借金癖があったら離婚は認められる?
サラリーマンの夫と結婚して5年目になるA子さんは、結婚してから夫が化粧をしたり女性の服装をすることが好きなことを知り困っています。 A子さんは何度か「夫に女装癖をやめて欲しい」と頼んだのですが、夫は「法律に触れているわけではないから趣味に口 …