盗まれたものを発見したがリサイクルショップやオークションで売買されたあとだった場合、取り返せる?
その日はたまたま授業が終わった後、そのまま友達と遊びに行くことになり、学校に自転車を置きっぱなしにして帰りました。
しかし、翌朝大学に行くとかけていたチェーンロックが切られて自転車が盗まれていました。
ところが、数日後に近くの公園の自転車置き場で盗まれた自分の自転車を見つけ、警察を呼んで登録証の番号を確認してもらうとやはりAさんのものということがわかりました。
警察とそこで待っていたところ、持ち主であるBさんが来て、問いただすとBさんは「これはリサイクルショップで5万円で買った」と言われました。
警察にそのリサイクルショップの確認をしたところ、確かにその店で販売したものだということが裏付けられました。
リサイクルショップ自体も盗品だとは気づかずに売っていました。
そこでBさんに事情を話して返して欲しいとお願いしましたが、「それだったら引き換えで5万円を返してほしい」ということを言われてしまいました。
この場合、自転車を返してもらうには5万円を払わなければいけないのでしょうか。
まず、自転車が動産であるという点と、その自転車が盗まれたという点の2つがポイントになります。
そうすると、自転車のもともとの所有者はAさんでした。
民法では、元の所有者であるAさんは、盗品である場合2年以内に限ってBさんに返還請求ができるということになってます。
5万円を返してほしいと言っていますが、Bさんはリサイクルショップから買ったということで、そういう善意のBさんに対しては、その買った代金5万円をBさんに払って、返還請求できるということになってます。
今回の場合はBさんが盗品ということを知らなかったということですが、盗品ということを知っていたら先ほどの原則に戻り、ただで返してほしいということがAさんは言えます。
善意、悪意というのは、法的には占有すべき権利があるかないか、それを知っていたかどうかで、占有というのは、事実上その物を支配しているということを言います。
今回のように盗まれたしまったというケースの場合、動産である自転車の占有が誰にあるのかということになります。
占有がAさんから泥棒、泥棒からリサイクルショップ、リサイクルショップからBさんと転々としていくわけです。
ところが、自転車はAさんのものですから所有権はAさんにあるということになります。
ですから、占有権だけが移動していて所有権が移動しているわけではないということになります。
今回の場合だとリサイクルショップの店員やBさんにも占有権が生まれ、自転車を盗んだ人にも占有権があるということになります。
泥棒が自転車を占有しているということであれば、たとえ泥棒でも占有権というものがあるということです。
従って、泥棒が占有しているものをまたさらに盗むとなれば、これは窃盗罪になり、泥棒から盗んだことも罪になるということになります。
他人の財物、他人が事実上支配している財物を盗むという行為が窃盗罪になり、たとえ泥棒が占有しているものであっても、それを盗んではいけないということです。
今回の結論は占有しているBさんが善意であり、盗品だということを知らなければ、Aさんは自転車を取り戻すのにはやはり5万円は支払わなければいけないということになります。
他にも不動産で、経済物件の不法占有をしているというケースが度々あると思いますが、そういう人は不法に占有してるだけの状態ですから、なんら占有権利はありません。
従って、そのような場合には、刑法では、経済入札妨害罪にも該当し、民事的には裁判を起こして明け渡してほしいということもできます。
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