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旅館側のミスで宿泊の予約が取れなかった場合、その損害賠償は請求できるか?

夏休みに人気の温泉旅館に出かけようと考えたAさんは、インターネットで旅館のホームページを見ていると、偶然空き部屋がある日にちを発見しました。
ホームページに「メールを送っていただいた後、旅館側から予約確認の電話をおかけします」と書かれていたので、早速電話番号を記した電子メールを送りました。
ところが1週間過ぎても旅館からの返事はなく、心配になったAさんは旅館に電話で予約の件を問い合わせてみました。
すると、旅館の従業員はAさんのメールを見落としていたと謝罪し、空き部屋にも別の予約を入れてしまい、既に満室だと説明されました。
仕方なくAさんは他の宿を探してみましたがどこも満室でした。
納得できないAさんは、旅館側に損害賠償を請求しようと思っています。
旅館側のミスで宿泊の予約が取れなかった場合、その損害賠償は請求できるか?

損害賠償と一口に言いますが、損害賠償には成立した契約に対する債務不履行による損害賠償と、不法行為に基づく損害賠償の2通りがあります。
不法行為というのは、他人に暴力で怪我をさせてしまったなどの場合の損害賠償なので、今回の場合は不法行為の問題ではなく、契約を履行したかの問題になり、そもそもの契約が成立していたかどうかがポイントになります。

この場合の契約が成立していたということは、予約がとれていたかどうかということになります。
予約というものも契約で、予約というのは例えば将来の売買の契約をしましょうということを予め契約しておくということになります。
従って、予約も契約だということになり、今回のケースでは、予約という契約が果たして成立していたのかどうかがポイントです。

電子メールを送ったということは間違いないので、契約の申し込みをしたということは間違いありません。
ところが相手方の旅館から承ったという内容の返事があったのかどうかになりますが、予約確認の電話は来ておりませんでした。

契約というのは、お互いの意思表示の合致がないと成立しません。
そうすると、旅館側から電話がかかってこなかったことから意思表示がなかったとみなされ、予約という契約が成立していなかったということになります。
従って契約が成立していませんので、債務不履行の契約の不履行に基づく損害賠償の請求もできないという結論になります。

インターネットなどで予約や申し込みをする際は、対面して契約する時よりも、きちんと予約が取れているのかを確認することが大事になります。

今回の場合は、Aさんと旅館側には予約が成立していなかったため、旅館側には損害賠償をする責任が発生していないということになります。

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